快進撃を続けるBillyrrom、1stワンマン追加公演をレポート。

2月25日(土)、6人組現役大学生バンドBillyrromによる「Billyrrom Addittional One-Man Live」がWWW Xにて開催された。本公演は昨年12月にWWWで行われた自身初となるワンマンライブ「Billyrrom First One-Man Live」終演後にスクリーンに投影される形で発表された追加公演であり、チケットは瞬く間に完売となった。本稿では大盛り上がりを見せた追加公演の様子をお届けする。

会場ではBillyrromのロゴマークが投影されたスクリーンがオーディエンスを迎え入れ、JamiroquaiやMichael Jackson、Mac Millerなどメンバーのルーツが垣間見えるようなBGMの選曲が開演前のフロアを温める。各所で話題沸騰中のBillyrromの織りなす世界観を体感しようと、会場には様々な世代のオーディエンスが集まっていた。

暗転するとスクリーン上に映し出されたロゴマークには何種ものノイズエフェクト、システム音と怪しげな音楽とが重なり、なにやら穏やかではない雰囲気を漂わせる。カウントダウンしていく時限爆弾のタイマーのような映像も差し込まれ、その数字が0になった瞬間、不穏だった雰囲気を切り裂くように、まばゆいオレンジの光を放つ舞台上へとMol(Vo)、Yuta Hara(DJ/VJ)、Rin(Gt)、Shunsuke(Dr) 、Taiseiwatabiki(Ba) 、Leno(Key/Syn)が姿を現した。

一曲目は先のワンマンライブと同様、彼らの1stシングル「Danceless Island」からスタート。華やかなサウンドで会場のボルテージを一気に引き上げる。サビではオーディエンスが手を上げて音楽に乗ったり、全身で踊ったり、じっとステージを見つめていたりと、どう楽しむかを強制されることはなくそれぞれが思い思いのスタイルで自由に楽しんでいる姿があった。ソロ名義では〝aint lindy〟としても活躍を見せるRinの爽やかな哀愁を漂わせるギターの音が心地よく響く。そのまま「Control」へと突入するとBillyrromの曲には、キメのパートが多いことに気がつかされる。6人の演奏が気持ちよく揺れる〝動〟であればあるほど、キメパートの空白に宿る〝静〟のグルーヴが一層際立ち、都会の夜を思わせるアダルトな雰囲気を醸し出す。またこの日、今春リリースされる新曲「Time is Over」も披露。Molがシェイカーを振り、先ほどの雰囲気から一転、爽やかな風を会場に吹き抜けさせていく。

最初のMCではMolが「ソールドありがとうございます!」とオーディエンス一人ひとりの顔を見つめ、「全員で楽しんでいきましょう!」と続けると会場からは準備万端と言わんばかりに拍手や歓声が飛んでくる。

力強いキックから「Narrator」へと流れ、幾重にも重なる宇宙空間的な広がりを見せたシンセのサウンドと激しく点滅するグリーンの照明がまだ知らなかった世界へとオーディエンスを誘いこむ。「SERENADE for Brahma」のブルージーでメロウなサウンドは体温に触れるようなやわらかさと熱いマグマが流れ出るような激情が入り混じる。立て続けに夜の高速道路が流れていく様が目に浮かぶタイトル未定の楽曲を披露。「次は大事な曲をやります」とMolが告げると会場はたちまち海の中にいるような青い光に包まれ、たゆたうクラゲのように優しく穏やかな「Eyes to the Mirror」が美しい。

Taiseiwatabikiが重厚感溢れるベースソロで、魅せる。水を打ったように静かな会場の空気を太く揺れる弦の音で震わせ、少しのタッチのニュアンスで表情を変えるベースを操っていく。都会の賑やかさを思い出させるかのようにLenoのキーボードとShunsukeのドラムが加わり、更にRinがギターを掻き鳴らし、Yuta Haraのスクラッチが光った「Solotrip」から、互いを渇望し試し合うような歌詞でスリリングな世界観の「Magnet」、本編最後はMolが「まだまだいけますか、じゃあ飛んでください!」とオーディエンスを煽り「Defunk」を披露。個々のソロパートで、これでもか!というほどの熱を発し目まぐるしく移ろう照明とで会場の熱気はピークのまま本編は幕を下ろした。

すかさず鳴り始めたアンコールを求める拍手と興奮冷めやらぬ大歓声に迎え入れられ、メンバーは再びステージの上へ。「最高じゃないですか!」Molが感謝を伝えると、オーディエンスはメンバーの名前を呼んだり拍手をしたり、思い思いの方法で応える。

優しさと愛に溢れた空間で最後に演奏されたのはBillyrromのはじまりの曲である「Babel」。淡い光で確かに足元を照らされているような、多幸感あふれる雰囲気で、今回のライブは幕を閉じた。

今まで私たちを縛り付けていたキャパシティに対する収容人数や声出し禁止などの制限も緩和されつつあり(この場所を守るために尽力してきた人々の存在も忘れてはならない)、在りし日のライブハウス、日常が戻りつつある。そして、そこに立っているのは2020年にバンドを結成したBillyrrom。初めてのワンマンライブから歩みを緩めることなく、この2ヶ月でも多くの人々を魅了し、進化を続けている彼らの更なる未来への飛躍も感じさせるライブであった。

– Text by Ai Kumagai

セットリスト

1.Danceless Island
2.Control
3.Time is Over (5th Digital Single)
4.Narrator
5.SERENADE for Brahma
6.タイトル未定
7.Eyes to the Mirror
8.Solotrip
9.Magnet
10.Defunk
En.Babel

リリース情報

Billyrrom 5th Digital Single
「Time is Over」

Release Date:今春リリース

Label:SPYGLASS AGENT / ArtLed