「on our journey feat. 関口シンゴ」リリース記念 lo-key design × 関口シンゴ スペシャル対談

~お互いの印象~

>まず今回コラボを行うにあたって、お互いの印象等をお聞かせ頂ければと思います。

marsh willow(以降 M):僕が大学の先輩から教えてもらったことをきっかけに、Ovallを聴かせて頂いていました。もともとベースを弾いていたので、音楽もそこばかり聴いていたんですけど、その先輩に結構いろんな音楽や、パソコンで音楽が作れるってことも教えてもらって、プロデューサーの人が作る音楽に興味を持ち始めて、音楽を全体的にまとめて聴くようになりました。その当時はLo-Fi Hip Hopが流行っていた時期で、Spotifyのプレイリスト「Lo-Fi Beats」を聴いていた時に、関口さんの曲が流れてきて、「Ovallの人じゃん!」って思って、そこからよく聴かせて頂いていました。ギターに関してはギターヒーローみたいなめちゃめちゃ高速なリフが好きだったんですけど、当時はネオソウルとかもよく聞いていた時期だったので、ギターのこのちょっとしたリック的なものがカッコいいなと思って、そういうところにフォーカスして聴かせて頂いていました。

関口シンゴ(以降 関口):ありがとうございます! 自分もロックからスタートしていて。中学生の時にギターを始めたんですが、当時X JAPANが好きだったので、それこそ最初は高速なリフばっかりやっていました。ただ、僕たちの世代が20代前半位の時にD’AngeloとかErykah Baduとか、今ネオソウルって言われているものの最初の波が来た時期で。僕はその頃からようやく速いだけじゃないブラックミュージックに根ざした音楽をやり始めたので、世代の違いでネオソウルへの行き着き方が変わってくるのは面白いなと思いました。

M:確かに僕らがネオソウルとかを聴くってなるっていうとリバイバル的なタイミングですもんね。

関口:そうだよね、ここ数年、4年近く前くらいからの流れだよね。その先輩はOvall以外にもブラックミュージックをやっているような日本人のアーティストを教えてくれたの?

M:そうですね。日本人のアーティストも教えてもらったんですが、海外のアーティストを教えてもらうことが多くて。それこそFKJとかTom MischとかSquarepusherとか、プレイヤー出身でジャズとかブラックミュージックと大切にしているアーティストを結構教えてもらいました。

>関口さんのlo-key designへの印象はいかがでしょうか?

関口:僕はコラボのお話が来てから聴かせて頂いて。やっぱ僕ら世代からすると、若い世代、リバイバルしてきたネオソウルとかのシーンにいる人たちって、世代はちょっと離れているんだけどものすごいシンパシーを感じるというか、下手したら同年代の人たちよりも結構共通言語があるような気がしているんですよね。Ovallって出てきた当初は同じような志でやっているバンドとかアーティスト結構少なかったんですよ。ブラックミュージックに根差していて、ネオソウルといったジャンルを中心にやっているアーティストは少なくて、今の方が、例えば最近フィーチャリングで一緒にやったSIRUP君とか、世代はちょっと下なんだけど共通言語があるアーティストが増えてきている中で、やっぱりlo-key designの2人にもそれと同じものを感じましたね。なので、コラボするってなったときも全く不安がなかったというか、多分スッとできるだろうなという気はしていました。

salt(以降 S):ありがとうございます。

関口:でもやっぱり僕たちとは当たり前だけど違うじゃないですか。その新しい感覚っていうかセンスはしっかり吸収させて頂きました(笑)。

S:ほんとに僕らもめちゃめちゃ勉強させていただきました。

関口:あと音楽的な部分はもちろん、まだzoomでしか会ったことはないけど、人柄的にも自分に近い系統の人達なんじゃないかなと思っていました。バイブスが、無理なく一緒に作業できる感じがあったので、最初ミーティングをした時、その辺も良かったなぁって思っていました。

~「on our journey feat. 関口シンゴ」制作秘話~

>実際に制作を行ってみていかがでしたか?

M:せっかく関口さんとコラボさせて頂けるかもしれないチャンスだったので、普段デモとかをsaltに投げる時は早めの段階で投げたりするんですけど、今回はしっかり作り込もうと頑張ったのは覚えています。曲の方向としてはバウンシーだけどあたたかい感じの曲を作りたくて。あとやっぱりギターが映えるように空間を作ろうって言う意識で作業していました。ただ、いざ作業してみると結構詰め込み過ぎちゃったなぁって反省でした。(笑)

関口:最初にデモを貰った時、その気合もあったのかもしれないですけど、トラックの完成度がとにかく高かったし、トラックの特徴として、シンプルなんだけど結構いろんな要素が入っていて、色彩豊かな印象を受けました。そこの両立って自分でもいつも気にしているところなんだけど、色々入れようとするとゴチャゴチャしちゃうし、シンプル過ぎると物足りなくて、今のストリーミングの並びの中に入ったときに埋もれちゃう。そこの温度感が絶妙だったなと思いましたし、ちゃんと僕がギターを弾くスペースを空けてくれているのも伝わってきたので、アイディアが浮かびやすくて、録音自体はすぐに終わらせることができました。あと最初のミーティングで曲の方向性を聞いた時に、Conor Albertの曲とかを教えてもらったと思うんだけど、後で調べたらインスタとか既にフォローしていて。それでもう大丈夫かもって思って、質問した割にはあまり考えずに弾けました(笑)。とてもやりやすかったです。

S:僕も1回デモを送らせてもらった後に、関口さんから色々とアイディアを頂いて。もともと送っていたデモとは違うイメージのものに変わっていったので、もっと良いメロディ作ろうとほとんど全部作り直しました。そこが新鮮で面白かったです。

関口:ギターを入れて佐藤くんが歌い直してくれたコーラスワークが良いなぁと思って。バッチリ普通にシンガーって感じもあるんだけど、ちょっと間を行くような立ち位置でも歌える人っていう感じもあって、コーラスワークで音として何か表現するとか立ち位置を少しトラック寄りにもできるし、前に出てシンガーとして歌うポジションにも行けるみたいな辺りも今っぽいなと思いました。Ovallも同じで、mabanuaがリードボーカルで歌っているんだけど、ドラム叩きながらなので歌い上げる形ではなくて、コーラスワークで聴かせたりとトラックの一部みたいな形なので、その立ち位置にシンパシーを感じました。

S:ちょっと前から凄く意識していた部分なので、気づいて頂けて嬉しいです!

関口:marsh willow君もLo-Fi Hip Hopとかに影響を受けたとのことだったけど、あのプレイリストって耳心地の良さが本当に重要で。それっぽいビートというだけじゃなくて、どんな楽器を使っていても、声が入っていたとしても、耳心地の良さがすごく大事だと思うのね。そこって持って生まれた声質で、パンチの効いた歌を歌う人もいれば、心地よく聴かせてくれる声質の人もいて。salt君の場合はコーラスで重ねたときに倍音感がある心地良い声質だから、もちろんシンガーとしての歌ものとしても聴けるけど、Lo-Fi Hip Hop的な聴き方でも気持ちよく聴けるような美味しいエリアにいるんじゃないかなと思いました。

>今回の楽曲で特に力を入れた点があればお聞かせください。

M:saltにボーカルのディレクションも結構するんですけど、今回は関口さんがサビ終わりに入れてくださったフレーズを追いかけて歌ってもらったり、とにかくその関口さんのギターとsaltのボーカルで歌っているのをビートで支えるという事に徹してミックスまで行ったので、その良さが出せたんじゃないかなと満足しています。

関口:でも、そういう所が今時の感覚なのかなとは思っていて。ギターのリフと歌が同じエリアで共存していたりとか、ここは歌が出るけど、ここではギターが出て歌がコーラスに回っていたりみたいな、そこの微妙な差し引きをミックスまで通して表現しているところが流石だなと思いました。やっぱりエンジニアリングとトラックメイキングを両方やるっていうのは凄くて、やっぱりミックスの領域って本当に難しいじゃないですか。

M:めちゃめちゃ難しいです。日々勉強です……。二人で完結する形で制作していきたいと思っていたので、今もそれを続けていますね。

関口:またOvallの話になって恐縮なんですけど、僕たちは3人組バンドで2010年に最初のCDをリリースしたんですが、その当時、僕はミックスをほぼやったことが無かったんです。ただ、mabanuaとベースのShingo Suzukiはトラックメーカーなので、自分でミックスまで全部やったソロアルバムを既にリリースしていて。その3人が集まってバンドをやっていたので、自分たちでレコーディングして、2人のどちらかがミックスをしていました。最近はorigamiのエンジニアが仕上げをやってくれたりすることが多いんですけど、当初は全部自分たちで作っていたので、そこもシンパシーを感じています。やっぱり共通点が多い方が今回みたいにうまくコラボができるような気がするよね。

M:確かにそうですよね。共通点が少ないと特別なことを強いられるわけで、そっちに力を割くこともあったりしますよね。

関口:もちろんfeat.としてコラボをお願いして頂いているので、僕の音楽も少しは聴いて頂いているという事だとは思うし、全然違うみたいなことないと思うんだけど……。

実際、ほとんど音に関して指示が無くてもうまくいったから、世代は違えど、経てきているものに共通項があるんじゃないかなとは思っていました。

M:デモを送った時点では、まだコラボすることが決定していた訳では無かったので、そこで違うって言われたらどうしようかと思ってました……(笑)。

関口:正直そこで例えばめちゃめちゃEDMとか、イケイケな感じだったりしたら、「俺で大丈夫かな……」とは思っちゃうかもしれないね(笑)。でもデモを貰った時点である程度の想像はできたし、アイディアも浮かびそうな気はしていましたね。

>saltさんは如何でしょうか?

S:僕はレコーディングがあんまり得意じゃないんですけど、今回は自分を楽器として捉えて、ギターとの掛け合いを意識したら、凄く楽しくやれました。

関:うちのレーベルにもHiro-a-key(Nenashi)っていうボーカリストがいて、彼もめちゃくちゃ上手いから、シンガーとして歌い上げることもできるし、今salt君が言ったみたいに楽器っぽい立ち位置で歌うことができるから、今回のコーラスワークとか聞いて共通点を感じましたね。

S:レコーディングしながらアイディアが湧いてきたので、コーラスワークを重ねていくのがとても楽しかったです

関口:例えばシンセとかオルガンで同じようなラインを入れたとしても、声の質感には全然違う良さがあって、楽器で再現できないものですよね。僕もプロデュースする時、歌詞はないけどコーラスを入れてもらう事はよくありますし、凄く印象的になる気がしますね。

M:そうですね。歌っている方の声でコーラスが入っていると、他の楽器ではできない位、自然に馴染んでくれますね。
それと今回、最初ギターをとっていただく時にステムデータで送らせて頂いて、関口さんの方でちょっと展開というか構成にもアイディアを出していただいたじゃないですか。そのパターン聴いた時に絶対こっちの方か良いわ!となって(笑)。

関口:ありがとうございます! 今回は僕のアイディアが新鮮に感じ取ってもらえて嬉しいけど、自分もトラックを作ったりプロデュースしたりする中で、ワンパターンなところもあって。もし追加で三曲の構成をエディットして下さいと言われたら、大体一緒になっちゃうと思うし。ただ、ワンパターンになっちゃうからこそ、誰かにエディットをお願いしたりすると新鮮で、やっぱり他の人にアイディアを貰うと凄く広がったりすることがあるので、そんなことが今回起こったら面白いなと出しゃばりました(笑)。

M:ありがとうございます! そのおかげで最後までしっかり聴ける作品に仕上がったかなと思います。

関口:でも、逆に最後のサビでエフェクトをかけた所とかは、自分にはない発想だからカッコいいなと思いました。あと、特にリズムって自分の癖がなかなか取れなくて。例えばギターを弾いていても、弾き方のリズムの癖があるから、違うリズムで弾こうとするとかなり難しくて、気を付けないとワンパターンになっちゃうので、そういうときに誰かの音源を聴いたり、アイディアを貰ったりすると、新鮮になるなと良く思います。

M:勉強になります。これからは色んな人に意見を貰おうかなと思います!

関口:特によくやるのが、基本的に打ち込みとかはもちろん一個一個やるんだけど、自分で打ち込んでいると癖が毎回一緒なっちゃうので、そういう時にループもののサンプルを持ってくると、それだけで全体のトラックが新鮮になったりするんですよね。

M:それこそ僕は最初ベースから始めたんで、まずベースの手癖のマンネリの話としてもめちゃめちゃ頷けましたし、打ち込みで作っている時も、目に見えるから手癖とかないだろうと思っていても、しばらくすると見えてきたりして悩んでいた部分でした。

関口:結構ループものとかって、「俺あんまこの感じの使わないな」っていうものは飛ばしたりするじゃん? だから結局選ぶのって同じになってきたりするんだよね。そこで敢えて全然違うやつを選んでみたりすると、化学反応が起きて自分にないものが出ることもあるので、それでマンネリを脱しようとしているかも。

>関口さんはいかがでしょうか?

関口:やっぱりギタリストとして呼んでいただいたので、ギターの立ち位置ですかね。今回の曲はギターソロという感じの音楽でないし、そういうトラックでもなかったんですが、とは言ってもその中でしっかり存在感をだせるように、自分なりの絶妙なポイントを探して弾いたつもりなので、その辺を聴いていただけると嬉しいです。

~今後について~

>最後に今後の活動についてお聞かせください。

M:先日、久しぶりのライブ出演も果たしまして、まだ未発表にはなりますがこれから先のライブも決まっておりますので、ぜひチェックしてみてください!
新曲についても数曲ほど鋭意制作中となっておりますので、ぜひご期待ください!

関:自分もソロアルバムにむけて曲を少しずつ制作中で、一曲ずつ黙々と作業する日々を送っております。既に3曲ほどリリースしておりますので、ぜひチェックしてみてください!

Info

アーティスト:lo-key design​
楽曲:on our journey feat. 関口シンゴ
レーベル:lo-key design/ ArtLed​
Marketing & PR: ArtLed​
Distribution: NexTone Inc.​
著作権:NexTone Inc.​

Link:https://nex-tone.link/A00103837

Profile

lo-key design

Instagram: https://www.instagram.com/lo_key_design/​
Twitter: https://twitter.com/lo_key_design
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCrGABpC7OJTKIijtkU3ayoQ

2021年6月にリリースした「AFFECTION remix」より本格的な再始動を果たし、快進撃を見せる。
7月にリリースした「STAY GOLD」は、Spotify「Soul Music Japan」のカバーアーティストに大抜擢。立て続けにリリースされた「ドレス」も多くの主要音楽配信サービスのプレイリストでリストイン。
続いて初のフルアルバム「PALETTE」のリードシングルとしてリリースされた「PERFECT BLUE」はJ-WAVEの「SONAR TRACKS」に選出され、番組への出演も果たした。
こだわりを感じるミニマルなトラックに、表現力豊かな歌声。作詞、作曲、編曲、レコーディング、ミックス・マスタリングまで全ての制作プロセスを2人だけで完結させている。

関口シンゴ

Instagram:https://www.instagram.com/shingo.sekiguchi/
Twitter: https://twitter.com/vusik_music
YouTube:https://www.youtube.com/c/ShingoSekiguchi

ジャズ、ソウル、ロック、ポップスなどを独自のセンスで解釈した音作りが賞賛される。関口シンゴ名義でソロアルバム『Brilliant』をリリース。またデジタルシングル「North Wing」は世界中のリスナーに届き、Spotifyでの再生回数が1,000万回を超える快挙を達成した。さらにプロデューサー、ギタリストとしてあいみょん、米津玄師、Wouter Hamel、Chara、土岐麻子などをサポート。docomo (カンヌ国際広告祭で3部門入賞)、Van Houten (アジア太平洋広告祭 ゴールド受賞)などのCMやJ-WAVEのジングル楽曲制作、映画「まともじゃないのは君も一緒」の劇伴を手がけるなど各方面で活躍。Shingo Suzuki (B)、mabanua (Dr)と共にバンド Ovall (オーバル) としても活動している。